「うまくいく時といかない時の差が激しい」
「自分の選択は本当に正しかったのだろうか?」
そう感じること、誰にでもありますよね。
仕事でも人間関係でも、結果が伴わないとき、私たちはつい「運が悪かった」と考えがちです。
でも本当にそうでしょうか?もしかすると、”運に見えるもの”の裏には、見落とされていた確率や期待値の構造が隠れているかもしれません。
ボードゲームの世界では、それが非常にクリアに見える場面があります。
カタンで「8」や「6」のマスに家を建てる意味、ドミニオンで初手から圧縮を選ぶリスク、ダイスゲームで「あと1回振るべきか」の判断……それらはすべて、確率と期待値という“見えないレイヤー”への感度によって左右されます。
この視点を日常に持ち帰ったらどうなるでしょう?
感情に左右されず、情報と構造を見極めながら動く。
それは、AI時代にこそ求められる“判断力”でもあるのです。
確率と期待値――“運の正体”に気づく
「運がいい/悪い」は思い込み?確率というレンズで見る
多くの人が「運」という言葉に、まるで自分にはどうにもならない不可抗力のようなイメージを持っています。
しかし、実際には運の正体の一部は確率です。
例えばカタンで「6」の出目が出やすいとされるのは、サイコロ2つの組み合わせでそれが一番多く現れるから。
この“発生頻度の高いものに賭ける”という思考は、資源の安定供給という形で勝率に大きく関与します。
「確率」というレンズを持つだけで、選択の質が変わる――
それは、仕事での商談成立率、営業のクロージング、日々のスケジューリングにも共通する話です。
期待値が導く「リスクを取る価値」
もう一つ重要なのが「期待値」という考え方です。
期待値とは、その行動を何度も繰り返したときに、平均してどれくらいの結果が見込めるかという見積もりのこと。
ボードゲームでは、単なる大成功狙いの行動と、リスクを抑えて確実に稼ぐ行動が両立します。
そして期待値の高い選択を選ぶプレイヤーは、たとえ一時的に失敗しても、長期的に強くなるのです。
ビジネスや投資も同じです。
一回の勝負での勝ち負けではなく、習慣として積み重なる意思決定の質――
それが人生の収支に大きく関わってくるのです。
感情の波に飲まれず、構造で判断する
「今日は調子が悪いからダメだ」
「なんとなくこの選択は避けたい」
私たちの判断には、しばしば根拠のない感情が入り込みます。
でも、ボードゲームは冷静な構造分析を鍛えてくれます。
「この選択は10回中6回は成功するから、いまはGO」
「ここはリスクが高すぎるから、次のターンを待つ」
こういった論理的な判断の積み重ねが、やがて“感情に揺さぶられない強さ”をもたらしてくれます。
それは、AI時代にこそ必要とされる「人間ならではの思考体力」なのかもしれません。
確率思考が活きる“現実のシーン”
職場の意思決定にも“期待値”はある
会議での発言、プレゼンのタイミング、新規企画への投資――
「やるか、やらないか」ではなく、「どちらが期待値としてプラスになるか」で考えたことはありますか?
ボードゲームに慣れている人は自然とこうした問いを立てます。
“この企画の通過確率は30%。でも通ったら10倍の成果がある”
そんなとき、長期的な期待値で行動を決める力が養われていれば、意思決定がぶれません。
一方で、
“みんながやってないから怖い”
“前に失敗したから避けたい”
という感情ベースの判断に流されてしまうことも少なくありません。
確率や期待値という構造の視点があれば、自分の思考が感情に偏っていないかをチェックできます。
創作・発信の場面では「試行回数」が武器になる
noteやThreads、YouTubeなどで何かを発信する際にも、「確率思考」は役立ちます。
ヒットする投稿はどれか? それは“運”もありますが、投稿数と試行回数によって“当たる確率”を上げることはできるのです。
ボードゲームで「とりあえず一手を進めてみる」という発想は、試すことへのハードルを下げてくれます。
「成功するまでやる」ではなく、「失敗も含めたプロセスが期待値を上げる」
そんな視点を持てたとき、私たちは結果だけでなく、行動する勇気と習慣も得られるのです。
AIではなく“人間”が判断する意味
確率だけでは測れないものもある
AIは圧倒的な計算力で確率・期待値を導き出します。
でも、人生には数値化できない「意図」や「美意識」もあります。
ボードゲームで「効率は悪いけど、この戦術が好き」とあえて選ぶこと、ありますよね?
そこには人間の“選ぶ自由”が現れています。
たとえ期待値では負け筋でも、信じて選び抜く行動には、物語性と納得感があります。
そういう“無駄にも見える行為”が、意外と人の心を動かしたり、結果的に道を切り拓いたりする。
だからこそ、AIの確率予測を参考にしつつ、「選ぶ責任と楽しさ」は人間の手に残しておく
それが、共創の時代の新しいバランスではないでしょうか。
結び|“確率の目”で世界を見ると、可能性が広がる
「運が悪い」「ツイてない」と感じたときこそ、
一歩引いて“確率と期待値”というレンズで物事を見直してみる。
それだけで、世界はずっと柔らかく、希望に満ちたものに変わります。
ボードゲームは、その目を鍛える最高の場です。
たとえ負けても、選択のプロセスが納得できれば、それは“確かな収穫”になります。
運と実力の間にある“確率思考”を手に入れることで、
あなたは人生というゲームでも、冷静かつ柔軟に“選び直せるプレイヤー”になっていくのです。
だからこそ今日も、遊びながら学び、選びながら鍛えよう。
未来は、“その一手”の積み重ねから始まるのだから。