「どれも大事に思える。でも、全部は選べない」――私たちの日常は、そんな“選択”の連続です。仕事、人間関係、情報、ライフスタイル…。すべてを抱え込もうとすると、気づけば混乱し、手が回らなくなる。そんなとき、ひとつの問いが浮かびます。
「いま、何に集中すべきか？」
この問いに向き合うための知的トレーニングとして、ボードゲーム『ドミニオン』が注目されています。これは単なるゲームではなく、「選択」「構築」「最適化」の力を養う“思考のジム”とも言える存在。
今回は、『ドミニオン』というデッキ構築型ゲームを通じて、人生に活かせる「選択と集中の戦略」について考えてみましょう。
選択肢が多すぎる世界で、どう動く？
常に「すべて」は手に入らない
ドミニオンの魅力は、毎ゲーム異なるカードセットの中から“自分の戦略”を立てなければならない点にあります。膨大なカードの中には、攻撃系、ドロー加速系、コンボ系、金策系……と多様な効果が存在。
その中から、自分の勝ち筋を見極め、不要なものを切り捨てていく力。それが「選択と集中」の最初のトレーニングです。
6分でわかる！】ドミニオンのこれさえ分かれば大丈夫！
「欲張り構築」はなぜ失敗する？
初心者にありがちなのが、目新しく強そうなカードを次々と買い足してしまう“欲張りデッキ”。ですが、ゲーム中に引けるカード枚数は限られているため、あれこれ詰め込むと逆に回らなくなります。
これは人生でも同じこと。あれもこれもと詰め込んだ結果、本来やるべきことがブレてしまう……という現象は誰もが経験あるはず。
カード構成は「自分の思考の写し鏡」
どのカードを選び、どんな動きを描くか。
それはまさに、その人の「思考の傾向」や「優先順位」が表れる瞬間。
ドミニオンは、選択のクセ、集中の軸、自分の盲点まで映し出す、ひとつの“内面可視化ツール”とも言えるのです。
デッキ構築から学ぶ戦略的思考
「引き算の戦略」で不要をそぎ落とす
ドミニオンでは、新しいカードをどんどん加えることでデッキが膨らんでいきます。しかし実際には、カードを加えすぎると、必要なカードが引きにくくなり、戦略がブレてしまいます。このとき重要になるのが「引き算の戦略」。不要なカードを意識的に“廃棄”することで、デッキの回転効率を高め、コンボの再現性を高めることができます。
これは現実でも同じ。何かを手に入れるには、何かを手放さなければならない。選択と集中の真髄は、ただ増やすことではなく、「残す価値があるもの」に絞り込むことです。
再現性のある行動パターンを設計する
ドミニオンの面白さは、“偶然性を含んだ中でいかに安定性をつくるか”にあります。カードの引きには運の要素がありますが、そこに確率と統計を持ち込むことで、狙った動きを再現しやすくなるのです。
日常に置き換えれば、これは「自分の成功パターンの設計」と言えるでしょう。再現性のある朝のルーティン、会話の組み立て方、プレゼンの構成…。一度きりの成功ではなく、繰り返せる仕組みを持つことが、真の戦略的思考なのです。
デッキ最適化は“人生の編集”である
人生という山札のなかで、何を引き寄せたいか
人生もまた、ランダムに訪れる出来事の連続です。今日の出会い、明日の仕事、思わぬチャンス…。それらをどう捉え、どのように“引き寄せ”ていくか。その鍵になるのが、日頃からどんな行動や言葉、習慣を“自分のデッキ”に入れているかということです。
あなたの毎日が、意図的に編集された山札ならば、引きたい未来を引く確率も変わってくるはず。
まさにドミニオンで鍛えた“構築思考”が、現実の選択にリンクしてくるのです。
結び｜ドミニオンが教えてくれる「選択する力」
あなたの未来は、いまの選択から生まれている
ドミニオンは、限られた資源と選択肢のなかで、最大の成果を引き出すためのゲームです。それはまさに、現代を生きる私たちに必要な「選択する力」「集中する力」「再構築する力」を鍛えるトレーニングでもあります。
AI時代において、情報は加速度的に増え、何でも手に入るように見えますが、それは裏を返せば「何を選ばないか」がますます問われる時代です。
あなたのデッキには、どんなカードが入っていますか？
そして、次のターンに引きたい未来は何ですか？
そんな問いを胸に、今日という一手を選んでみましょう。
