組織ってゲームだったの?ボードゲームで読み解く“人とルール”

組織で働くということ。それは単に指示をこなすことでも、役割を果たすことでもありません。
日々、気づかぬうちに“ゲーム”をしているのかもしれない――そんな視点で見たとき、あなたの所属する職場やチームがまったく違った風景に映るはずです。

「なぜこのルールがあるのか?」
「どうしてあの人の動きにイライラするのか?」
「自分の動きがチーム全体にどう影響しているのか?」

こうした疑問を、論理や感情で分析しようとしてもうまくいかないことが多いのは、“全体の構造”を見ていないからかもしれません。
ここで登場するのが、ボードゲームという小さな世界。実はこの中に、組織を動かす「人」「ルール」「目的」の全要素が詰まっているのです。

組織とボードゲームの共通点とは?

明文化された「ルール」が動きを制限する

ボードゲームには、プレイヤーが従うべきルールがあります。これはまさに、会社の就業規則や役職の役割分担と同じです。
ルールは公平性を保つために存在しますが、それが硬直化すると、創造性やモチベーションを奪うことも。

たとえば『カタンの開拓者たち』では、資源交換のルールをどう活用するかが勝敗を分けます。
ルールを「どう守るか」だけでなく「どう活かすか」の視点は、組織での柔軟な思考にも通じます。

カタンの開拓者たち 公式ビデオ(かんたん遊び方ガイド)ルール解説

各プレイヤー(人)の役割が勝敗を左右する

ボードゲームの面白さは、同じルールでも“人が違えば展開も変わる”ことです。
これは組織におけるメンバーの多様性そのもの。

『パンデミック』では、各プレイヤーが「研究者」「科学者」「輸送担当」など異なるスキルを持ち、協力して世界を救うことが求められます。
誰かが暴走すれば失敗するし、うまく役割を活かし合えば成功に近づく。

つまり、「誰と働くか」「どんな行動を取るか」が、組織成果に直結するという点で、現実と極めて似ているのです。

パンデミック ルール動画 by社団法人ボードゲーム

勝利条件(目的)が共有されているかがカギ

ボードゲームは、全員が同じ「勝利条件」に向かって動くか、あるいは「競い合う」かで戦略が変わります。
これも組織において非常に重要な視点です。

たとえば『ドミニオン』では、デッキ構築という個人の成長が勝利を生みますが、それが見えにくいと“何をすればいいのかわからない”という状態になります。
現実の組織も、「なぜこの仕事をするのか」「何がゴールなのか」が曖昧なままだと、メンバーは迷子になります。

目的の明示と、共有のプロセスがあることで初めて、組織はひとつの方向に進み出します。

【6分でわかる!】ドミニオンのこれさえ分かれば大丈夫!【ルール説明・インスト編】


このように、ボードゲームはただの遊びではなく、組織の本質を映し出す「小さな現実」と言えるのです。
ではこの“気づき”を、実際の職場やチームでどう活かしていけるのでしょうか?

後半では、より実践的な視点から、ボードゲームを使って組織を読み解き、変化を生む方法を考えていきます。

ボードゲームから見える「組織の構造」とは

ルール=制約ではなく、共創の“設計図”である

多くの人が「ルールは守るもの」「制限されるもの」と考えています。
しかしボードゲームにおいて、ルールは“遊びの枠組み”であり、“共創の土台”です。

たとえば『コードネーム』では、制限された言葉の中でチームが連携し、互いの知識と感性を引き出しながら成功を目指します。
このように、ルールは創造性を抑圧するものではなく、“どう活かすか”の視点に転換することで、自由の可能性が広がるのです。

組織でも同様です。「この枠の中で何ができるか?」という問いが、創意工夫を生み、制度の再設計にもつながっていきます。

人間関係の摩擦は「勝利条件のズレ」かもしれない

職場で生じる対立や不和の多くは、「やり方の違い」ではなく、「目的の認識のズレ」によるものです。

『ディプロマシー』のような交渉型ゲームでは、信頼と裏切りの連鎖が起きます。
しかし多くの場合、それは“勝利の定義”が異なるがゆえの戦略の食い違いです。

現実の組織においても、「営業部は売上」「開発部は品質」「経営層は長期利益」――この“勝ちたい方向”がずれていることが、誤解や衝突を招きます。

ボードゲームを通じて、「相手の勝利条件に立って考える」という視点を持つことで、関係性が一変することがあります。

【5分でわかる】ディプロマシー【超初心者向け解説・ルール紹介】

結び|組織を「プレイする」ための視点を持とう

ボードゲームは、決して「現実逃避」のための遊びではありません。
むしろ、現実の構造を小さく切り取った“観察ツール”として活用できるのです。

組織もまた、プレイヤーがいて、ルールがあり、ゴールがある“動的なゲーム空間”。
ならば、ただ適応するのではなく、自分の“プレイスタイル”をもって関わることが大切です。

  • どんなルールがあるのか?
  • 自分はどう動いているか?
  • 他者はどんなゴールを目指しているか?
  • そして、共に勝つ方法はあるか?

これらの問いをゲーム感覚で楽しみながら考えることが、組織での居場所や役割を再発見するきっかけになるかもしれません。

あなたの組織も、“ゲーム”としてもう一度、捉え直してみませんか?

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