テレストレーション ズレるほど面白い|テレストレーションで知る“伝える”の本質

「ちゃんと伝えたはずなのに、全然違う意味で伝わっていた」

そんな経験はありませんか?
仕事でもプライベートでも、私たちは常に「伝える」と「受け取る」の間で誤解のリスクと隣り合わせです。言葉を使っても、絵を描いても、完璧に伝えられるとは限りません。むしろ、「なぜかズレてしまう」ことの中に、人間らしい面白さや、コミュニケーションの本質が隠れているのかもしれません。

そんな“ズレ”をとことん楽しみながら味わえるのが、パーティーゲーム『テレストレーション』です。
お絵かき×伝言ゲームというユニークな仕組みのなかで、誰かの思考や誤解が次々と連鎖し、「最後にどうなるか」が見えてくる面白さ。
そこには、ビジネスや教育、対話の現場でも活かせる大切な気づきが詰まっています。

今回は、「伝える」とは何か?
なぜ私たちはすれ違うのか?
そして、どうすれば伝わり合えるのか?
──そんな問いを、テレストレーションという“遊び”から紐解いていきます。


なぜ「ズレ」がこんなに面白いのか?

意図と解釈の間にある“魔法”

テレストレーションの魅力は、「意図どおりに伝わらないこと」が前提になっている点にあります。
描いた絵がズレて、言葉が誤解されて、最初の意味からどんどん離れていく……。本来であれば失敗として扱われるような“ズレ”が、ここでは爆笑と驚きに変わります。

この仕組みは、ある意味で人間のコミュニケーションの核心をついています。
私たちの伝達は常に“多重翻訳”されながら進んでいく。言葉を絵に、絵を言葉に、そしてまた別の文脈へと変換されていく中で、「伝えること」と「理解すること」の間に何が起きているのかを、体感的に気づかせてくれるのです。

フクハナのボードゲーム紹介 No.124:テレストレーション

伝わらないことが「前提」の場の安心感

多くの対話の場では、「ちゃんと伝えなければならない」というプレッシャーがつきまといます。しかし、テレストレーションのようなゲームでは、“伝達ミス”こそが醍醐味。間違っても怒られない、むしろ歓迎される。

この「失敗OK」の空気が、心理的安全性を育みます。
「うまく描けないかもしれない」「意味が通じないかも」という不安が薄れ、むしろズレを楽しむことで、人と人の間のハードルが下がっていく。
その安心感が、共創や本音の対話を生む“土壌”になります。

ズレから生まれる創造性と笑い

面白いのは、ズレが連鎖していくことで、まったく予想しなかった物語が生まれていくことです。
最初は「カメラ」だったものが、最終的に「トイレ」に変化していた──そんな意外な展開が、全員の笑いを引き出します。

ここで起きているのは、「正解を目指さない」コミュニケーションです。
むしろ、ズレや間違いの中に、想像力や解釈の自由が育っていく。
この柔軟さこそが、対話や創造性の土台になるとすれば、テレストレーションは単なる遊びを超えた、“関係性のトレーニング”にもなるのです。

テレストレーションは“伝え方”の筋トレになる?

抽象から具体へ──“伝わる”絵とは?

「描いたのに伝わらない」
テレストレーションでは、そんな体験を何度もします。それは、自分の“伝え方のクセ”に気づくきっかけでもあります。

たとえば、「鳩」を描いたつもりでも、相手には「カモメ」や「ニワトリ」に見えてしまう──この“ズレ”は、自分の中でのイメージと、相手の中のイメージの違いを浮き彫りにします。
このとき重要なのが、「どうすれば“共通のイメージ”に近づけるか?」という工夫。
つまり、抽象と具体の往復です。

シンプルすぎると伝わらない。細かく描き込みすぎても混乱する。
このバランス感覚が、コミュニケーションにおける「例え話」や「要点の整理」にも通じる感覚となって育っていきます。

職場や教育現場での活用も

テレストレーションは、実はチームビルディング研修にも取り入れられているゲームです。
その理由は単純明快──「伝えることは、こんなにも難しく、面白い」ということを、安全に、楽しく、体験できるからです。

特に有効なのが以下のような場面です:

  • 新人研修やグループワークのアイスブレイクに
  • チームの“伝達ミス”を可視化したいときに
  • 非言語コミュニケーションの感覚を育てたいときに
  • 教育現場で「伝えることの本質」を学ぶワークに

ルールがシンプルな分、参加者の年齢や職業を問わず楽しめるのもポイントです。

ズレを怖がらずに、ズレを楽しもう

最後に、この記事を通じて最も伝えたいのは、「伝えられないことが悪い」のではなく、ズレの中にこそ価値があるという視点です。

私たちはつい、すれ違いや誤解を“失敗”と捉えがちです。
でもテレストレーションのようなゲームは、それを「笑い」に変え、「発見」に変え、「つながり」に変えてくれます。

ズレがあるからこそ、問い直せる。
ズレがあるからこそ、笑い合える。
そして、ズレがあるからこそ、「伝わった」ときの感動が生まれる。

そんな“伝えることの本質”を、遊びの中で楽しく学べる──
それが、テレストレーションというゲームの真の魅力なのです。

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